【動画と写真】ベイルート大爆発と北朝鮮・龍川の「爆弾テロ」説

メディアでは「爆発で空いた穴は深さ15メートル。地上での爆発では力学的にあり得ない。地中に埋められた爆発物の可能性がある」「訪中で成果の少なかった金正日は、実は時間を繰り上げて帰国していた」という趣旨の見方が展開されるなど、様々な角度からテロ説が述べられている。

【写真】爆発事故前後の龍川駅の衛星写真を公開

もっとも、「テロ計画」の存在を断定できるほどの材料は、簡単にはみつからない。

まず深さ15メートルのクレーターについてだが、これは過去の硝安爆発事故の例が参考になる。

2001年9月21日、フランス南部トゥールーズ郊外の化学工場で、硝安400トン前後が爆発した。

オレンジ色のキノコ雲が上がり、被害は3キロ先にまで及んだとされる。同工場は、外壁と床が厚さ60~120センチのコンクリートで出来ていたのに対し、天井は軽質素材とガラス窓。つまりは上方への「放爆構造」がとられていたのに、外壁は木っ端微塵になった上、60メートル四方、深さ10メートルという巨大なクレーターが生じた。龍川のケースは、特殊なものとばかりは言えないのだ。

龍川駅周辺。左は03年5月、右は04年4月22日の事故18時間後
龍川駅周辺。左は03年5月、右は04年4月22日の事故18時間後