「不倫サウナ」に介入する北朝鮮当局のよこしまな目的

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、韓国政府は今月1日から、サウナの営業を禁止した。これは、銭湯の営業は認められ浴槽、シャワーは利用できるが、サウナ室は利用禁止というものだ。

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自宅に給湯施設のない貧困層に配慮したというのが韓国政府の説明だが、サウナに入って肌をふやかしてからアカスリをするというのが韓国式の銭湯スタイルだ。韓国メディアは、「サウナが使えないのに客が来るわけがない」という銭湯経営者の嘆きの声を伝えている。

このように蒸し風呂やサウナに入る習慣があるのは、北朝鮮も同じだ。そこが「コロナ感染拡大の温床」として、当局の取り締まりを受けていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

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北朝鮮の各地方都市には「恩徳院」と呼ばれる国営スーパー銭湯があり、風呂やサウナはもちろん、理髪店、美容室、レストランも併設されている。しかし、給湯設備が老朽化しているなどして、お湯が出るまで寒さに震えながら待たされることもしばしばだ。

一方で、トンジュ(金主、新興富裕層)経営のサウナは、設備がよく清潔で人気を集めていた。また、国営スパ銭なら夫婦証明証が必要な男女カップルの家族風呂、VIPルームの利用も自由にできることから、不倫や売春の温床ともなってきた。

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こうした行為を「非社会主義的」とみなす当局はかねてから民営サウナを問題視してきたが、ここへ来て取り締まりを強めているもようだ。

平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋によると、今月第2週に防疫当局と司法機関が共同で、道内の銭湯、サウナに対する抜き打ち検査を行った。これは、新型コロナウイルス感染が疑われる患者が急増する中でも、冬を迎えてサウナ利用客が増えたことから、営業を続けさせればクラスターが発生しかねないと見てのことだという。

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成川(ソンチョン)郡の中心市街地で、銭湯とサウナを経営しているトンジュ2人と、銭湯だけを経営しているトンジュは、大浴場を閉鎖し、1〜3人だけ入浴可能な家族風呂に絞って営業を続けていた。

これに対して防疫当局は、時間を分けて入浴させたとしても、前に利用した客が感染者ならば、その後に利用する客に感染が広がりかねないと判断。3人の経営者をコロナ防疫規定に違反した容疑で安全部(警察署)に連行し、罰金100万北朝鮮ウォン(約1万3000円)を課した。

今回の取り締まりを、地元住民は疑惑の目で見ている。ある住民は、地元住民の間では、防疫当局と司法当局が、銭湯やサウナに対する検閲(検査)を口実に、トンジュからカネをむしり取ろうとしているのではないかと噂されていると伝えた。

取り締まりのターゲットとなっているのが個人経営の店ばかりで、罰金も巨額であることから、「コロナ防疫を理由に銭湯の営業を取り締まるのなら、国営食堂や商店の営業もやめさせるべきなのではないか」との声が上がっている。

国営の食堂、商店のみならず理髪店、市や郡の商業管理所所属の店舗は取り締まりを受けず、営業を続けている。商業管理所所属といっても、実態は民間人経営だ。

各市、郡の人民委員会(市役所)の商業部は、個人経営の食堂、雑貨屋、美容室を登録させ、1割から3割を事実上の税金として納めることを条件に、「商業管理所所属」という看板を掲げる許可を得て営業させるという、「なんちゃって国営商店」だ。

この「税金」を支払おうとしない店主に対しては、営業中止や設備没収などの制裁が加えられるが、最初の数ヶ月は上納金を払って、軌道に乗れば逆に「赤字だからカネはない」と主張して「脱税」するトンジュがいる。巨額な罰金を考えると、コロナを利用して、そういうトンジュから税金を取り立てるという手法であることも考えられる。

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