文在寅に迫る「Xデー」…蔚山市長選挙介入事件の全貌

韓国の文在寅大統領の「30年来の友人」が当選した蔚山(ウルサン)市長選に不当に介入したとして、韓国のソウル中央地検は2020年1月29日、現職市長と政府高官ら13人を公職選挙法違反などで在宅起訴した。

起訴された面々には宋哲鎬(ソン・チョロ)蔚山市長と黄雲夏(ファン・ウナ)元蔚山地方警察庁長のほか、韓秉道(ハン・ビョンド)元政務首席秘書官、白元宇(ペク・ウォヌ)元民情秘書官、朴炯哲(パク・ヒョンチョル)元反腐敗秘書官、チャン・ファンソク元均衡発展秘書官室先任行政官、ムン・ヘジュ民情秘書官室行政官ら青瓦台(大統領府)の要人が名を連ねている。

問題の蔚山市長選挙は2018年6月13日に行われ、与党・共に民主党(以下、民主党)候補として出馬した宋哲鎬が、野党・自由韓国党(現国民の力)所属で現職の金起ヒョン(キム・ギヒョン)を破り当選した。

起訴状などによれば、宋哲鎬は地元出身ではないながら、過去8回も蔚山から国会議員選挙や市長選挙に出馬して落選。また、党籍変更を繰り返していたため、民主党内での地盤も脆弱だった。さらに蔚山では、過去の市長選で民主党系の候補が当選したことは一度もなかった。

標的は青瓦台ナンバー2

韓国検察当局によると、宋哲鎬は市長選出馬前の2017年9月、蔚山地方警察庁長(当時)の黄雲夏に、現職市長キム・ギヒョンの捜査を依頼した。10月には、市の幹部が青瓦台にキム・ギヒョンに関する真偽不明の「不正情報」を提供し、これを民情秘書官の白元宇らが警察に伝えて捜査を促した。警察は市長選の直前にキム・ギヒョンや側近らの捜査を強行し、有権者にマイナスイメージを与えるなどした。